東京高等裁判所 昭和31年(行ナ)38号 判決
原告の請求原因事実中一及び三の事実は被告の認めるところである。而して本件にあらわれたすべての資料によつても本件登録実用新案が原告主張のようにその登録出願前に公知となつていたことを認めるに足りないばかりでなく、証人田中武次の証言及び之により成立を認め得る乙第一及び第二号証を綜合すれば、そのような事実のなかつたことが認められる。
然らば審決が本件実用新案の登録無効請求を排斥したのは相当であつて、その取消を求める本訴請求は失当である。
〔編註その一〕本判示に被告の認容した原告の請求原因事実中一、の事実とは、「本件登録実用新案が公知の技術よりも優れた内容を有し、作用効果も著大である」との趣旨の陳述である。
〔編註その二〕援用の証言とは特許庁において取り調べられた証言を援用したものである。このような援用の可否について判例は賛否両論に分かれていたが本判示を契機として援用を認める態度を明確にし、本法一〇〇条・五・(6)・(へ)・(3)の判示によつて積極的に肯定するにいたつたものである。